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映画「聖職の碑」を見て
2014 / 06 / 25 ( Wed )
BSで見た映画「聖職の碑」のこと。

昨日の記事の前置きにも書いたんだけど、
とても考えさせられる映画だったので、別個に書いてみます。


映画は、大正2年(1913)8月26日、木曽駒ヶ岳で実際に起こった大量遭難を描いています。

木曽駒ヶ岳、標高は2956m。


長野県伊那の高等小学校で行われた集団登山中、
生徒10名に校長を含む計11名が命を落とした悲劇的な気象遭難。

映画「八甲田山」と同じ原作者(新田次郎)、同じ監督、同じ遭難ものですが、
子供たちの遭難で心がとても痛む、感動作でした。


冒頭は、生徒と先生の間の絆が濃かった時代の、
純朴な生徒らと教育熱心な教師たちの姿が描かれます。

人情味篤く人格者な校長を鶴田浩二が演じています。

任侠映画でトップスターになった鶴田浩二ですが、
嵐の中、文字通り命がけで最後まで生徒に寄り添う校長役は素晴らしいです。

いまの月9で金髪頭の事件屋をやってる三浦友和が若い教師役で出ています。


事故は、長野県ではよく行われている「学校登山」で起こりました。

駒ヶ岳ロープウェイなんて夢想だにしない、わらじ履きの時代の話です。

早朝から延々十数キロ歩いて桂小場登山口へ、
胸突き八丁をこなして尾根に出て、稜線歩き。

まだ、徒歩がもっともポピュラーな移動手段だった時代とは云え、
標高700mちょっとにある学校から、2800mオーバーの山小屋まで、
一気に歩き登ってしまう。

凄い。

装備はと云えば、足下はわらじや脚絆、
上は防寒用に冬シャツ、カッパはウインドブレイカー代わりにもなったむしろ。

休憩中、石を蹴り落とす子供をしかり飛ばすシーンもちゃんと出てきます。


心が痛い遭難シーンは、
新田次郎が丹念な取材を重ねて書き上げた原作を元に丹念に描かれています。

気象遭難ですが、出発前に何度も観測所に電話し、天候を確認しています。

登山中も晴れ間も覗くほどの天候でした。

けれど、日暮れとともに一行を冷たい暴風雨が襲います。

暴風雨の正体は猛烈に発達した台風でしたが、
当時の観測技術では低気圧の急速な発達・接近を予測できませんでした。

でも、一番の原因は、子供たちがやっとの思いでたどり着いた山小屋(伊那小屋)が、
無残に焼け落ち、石垣しか残っていなかったこと。

映画では、逃げるように急ぎ足で下る男たちが登場します。


昔はよくあったそうです、
心ない人たちが暖を取るために、壁やら床やらの板を剥がして薪にしてしまい、
柱しか残ってない、みたいなことが。

石鎚山でも遭ったと山行記録に残っています。


急速に天候が悪化する中、ハイマツやむしろで屋根をこしらえ、
全員が身を寄せて耐えるも、ついにひとりの生徒が息絶えてしまいます。

耐えきれず、案内人が逃げ出すと、一行はパニックに陥り、
避難場所を飛び出した生徒たちの命を、
風速30mにも達しただろう暴風雨が、ひとつ、またひとつ奪っていきます。

校長は最後まで生徒らのそばにいて、自らのシャツを脱いで凍える生徒に着せ、
ついには命を落とします。


映画「八甲田山」も悲劇的ではあったけれど、
遭難したのは大人、それも鍛えあげられた兵隊でした。

でも、「聖職の碑」は子供たちが命を落とすから、
見ていてホント、心が痛く辛くなります。

だから、興行的にも成功しなかったのかも。


以前、偶然たどり着いた二人の命を救った岩屋が特定されたという記事を載せたことがあります。

「聖職の碑」で知られる駒ケ岳遭難事故で、生還者が避難したとみられる岩穴 → 「聖職の碑」で命救った岩屋発見

劇中、三浦友和演じる教師と生徒が岩屋に逃げ込み、
顔面蒼白の態でなんとか風雨をやり過ごし、朝日を迎えるシーンがありましたが、
あれがあの岩屋だったのかな。


事故の後も描かれていて、「子供を返せ!」と石を投げる遺族たちや、
遭難地に記念碑を建てようと、病を押して書名・陳情活動に顔面蒼白で奔走し、
建立直後に亡くなった教師(北大路欣也が熱演)。

慰霊登山としていまも続けられている集団登山の風景で幕を閉じます。


木曽駒ヶ岳の山頂までは行ってはないけど、
長野の伊那にいた頃、ロープウェイで千畳敷まで行って、
そこから宝剣岳の東、浄土乗越と云う稜線まで登ったことがあります。

いまでもあの浄土乗越が僕の最高地点です。

浄土乗越まで行けば、山頂も指呼のうちなんですが、
遭難事故当時は、あんな山頂直下まで麓から一気に登ったんだといま思うと、
無理があったのではと思ってしまいます。

登山口辺りで一泊していたら、その夜のうちに台風が来て、
翌朝の登山は取りやめになっただろうし、
1日ずれていても、山小屋にはもっと早く着けただろうから、
無残な山小屋を見て、嵐が来る前に下山できただろう。

でも、んなことはみんな、後出しジャンケン、
“だろう”な話はいくらだってできる。


真夏に起きたと云えば、トムラウシの大量遭難を思い出します。

そういえば、昨日、東京で大粒のヒョウが短時間に降りまくり、
住宅街が大量に積もった氷の粒で真っ白、真冬のような光景になりました。

お山であんなヒョウに見舞われたら…と思うと、恐ろしい… (>_<)

ヒョウではないけれど、僕も一度、真夏の四国カルストで激しい通り雨に遭い、
カッパを着ていても凍えるほどの冷たい雨に身の危険を感じたことがありました。

気象遭難はホントに恐ろしいものです。


間もなく、石鎚山もお山開きを迎えます。

梅雨が明ければ、宇宙が透けて見えるくらい晴れ上がった青空が広がり、
絶好の登山日和の毎日に、いても立ってもいられなくなることでしょう。

でも、忘れないで下さい、

自然は無慈悲だということを。
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14:01:55 | コメント(回答)(2) | page top↑
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コメント
--懐かしい!!--

たまたま 観ようと思って、、、
聖職の碑なんて 載せてる人少ないだろうなぁとネットで調べてたら ブログ書いている方が居てビックリしました!

私は まさにそこの中学で 慰霊登山をしました。
子供の頃なので嫌で嫌で堪らなかった事を覚えています。

登山前の確か1週間〜2週間前には いつも何キロか忘れましたが(結構な重さだった)リュックに沢山の石と登山で持って行くものを入れて 毎日学校に通い、本登山前には仮登山で更に登山をして、臨みます!

登山前には中学にある記念碑に黙祷を捧げ、恒例行事の『聖職の碑』を観させられました(^^;;

何でこれから登るのに遭難する映画を観るの??←ワケが分からない状態で、、(今は見せないみたいですね)

そして、私達の映画を観させられてた頃は必ず登山日には曇りから雨、雨から豪雨に変わるんです。←なんか引き寄せられてた気がします(^^;;

とにかく凄い大変だったのを覚えています!

実はロープウェイを作ったのはおじいちゃんなので、よく母が その下見に7回はおじいちゃんと一緒に登った!と苦労話も何度も聞きました。

私はもう中学で懲りて 登山はしませんが 自身は駒ケ岳には本当に縁が深いんだと思います!

昔はよく分からず映画を観てたんですが、大人になって もう一度、観ようと思います。

とても懐かしく思い出したので コメしました(^^)
by: 奇跡 * 2015/03/27 03:56 * URL [ 編集] | page top↑
--コメントありがとうございます--

映画『聖職の碑』や学校登山のことは以前から知ってはいたのですが、
映画をたまたま観る機会があり、感動したので取り上げてみました。

愛媛には、長野のような毎年登山するような行事を行っている学校はほとんどありません。
日帰り遠足でちょいと登るくらいがせいぜいです。
学校登山とか、○年生になると必ず○○岳に登るとか、そういうことがないので、
長野にいたころは、とても驚いたとともに、うらやましく思いました。

その楽しいはずの学校行事中に起きた哀しい遭難事故。
心ない登山者らに無残な姿にされた避難小屋では雨風防ぐこと叶わず、
小さな命をまもるため、自らの上着を与え、先生らは必死で子供たちを守ろうとする。
自然の猛威に慈悲を求めても詮なく、多くの命が失われていく…。

山岳大量遭難という視点から見ても、とても示唆に富んだ物語でした。

慰霊登山に参加されてた方のお話は初めて聞かせていただきました。
ありがとうございます。
おじいさまがあのロープウェイ建設に関わられたんですか。
その苦労話、僕も聞きたかったなぁ (^_^)

経験値も上がった大人になって「聖職の碑」を見ると、
新しい感動で満たされることでしょう。

駒ヶ岳、行きたいです。
by: るし * 2015/04/01 13:00 * URL [ 編集] | page top↑
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