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新居浜の銚子の滝とコガノキを見に行こう! 5 上ノ成
2017 / 02 / 09 ( Thu )
コガノキを見に行く途中、大きなカシノキを見て感動、さらなる感動を求め、林道をさらにさらに遡行。

通り過ぎちゃったかな?と心配になるくらい、カシノキから1.5kmほど、くねくねカーブ連続する林道を走りました。


右カーブの内側に、カシノキのときと同じ白い標柱がありました。

スクーターを駐め、まじまじと標柱の文字を読むと「コガノキ 右入る800m」とありました。

は、800m…。

道の状況にもよりますが、山道の800mは、なんとな~く行ける距離のぎりぎりです。

正直、お山歩できる格好でもなかったし、躊躇しました。

でも、せっかく来てるんだ、「巨樹」のキーワードが背中を押して、さらにお山に分け入ることにしました。


標柱脇の踏み跡状の小径に入って行きます。

スギやヒノキの枝が積み重なり、柔らかな地面を踏みしめながら、坂を登りました。

 左側の林の中に古い石積みが点在していました。
ここいらにも集落があった証しです。

 道が左に曲がる場所で、イノシシのお風呂・ヌタ場を発見。
切り株になすり付けられた泥は乾いていたので、昨日今日の利用はなかったみたい。

 ヌタ場で左折し、石積みの横を進みます。
この辺りでもう、道が草木に埋もれて分かりにくくなっていました。

目をこらして、道の痕跡をたどると、道は右にカーブしていました。

 そのあと、右下がりの斜面を横切りるように登ります。

けもの道か、人道か、悩ましい場所もありましたが、目が慣れてくると、はっきりと区別できるようになりました。

昔取った杵柄、ってやつです。

整備された登山道のないお山を百以上登ってきた経験がすぐに役に立ちました。

でも、たどってきた道が正しかったと確信できたのは、
 この橋に出会ったときでした。
イノシシは橋なんか、架けませんから。

150kgまで耐えられる橋でしたが、

二つ目の橋が、なんと、崩落していました。

小さな沢に架かっていましたが、土砂崩れの直撃を受けたのでしょう。

揺らしてみましたが、しっかりしていたので、そっと足を乗せ、渡ってみました。

揺れもズレもせず、最後だけ、90度近く横倒しになっているので大変でしたが、
倒木や鉄骨に足の置き場を見つけ、ちゃちゃっと渡り切れました。

 対岸は斜め右に登りますが、道はうんと狭くなっていて、路肩は崩れやすく、脆く、足下注意でした。

 シダが覆い、道が分かりづらい…。
と、思ったら、道は急に左折して上に向かって登り始めました。

ここしばらく、お山歩してなかったので、また汗がにじんできました。

ジャケットとか防風ヤッケパンツとか履いたままで来てしまったことを後悔し始めてました。

辺りは鳥の声しかしなくて、しんと静まりかえってます。

野ウサギとか、きっといたんだろうけど、急に現れた侵入者に警戒して、物陰に隠れて息を殺してるに違いない。

イノシシなど野生動物と出くわさないよう、時時、奇声を発して歩きました。


縦に伸びていた道は、再び出現した石積みの前で右に折れました。


このまま横移動が続くのかと思ったら、
 また、縦移動。

首回りとか汗がにじんできたので、ジャケットやら、脱げるものは脱いで、道端の灌木に引っかけて置いてきました。

先の石積み以降、集落の跡地に入ったようで、
 往事の名残、石畳も所所にありました。

この道は、昔の生活道の一部だったようです。

 板状の岩で道の両端を縁取った場所もありました。

傾斜が緩やかになり、家が建てやすく、畑も耕しやすそうな地形になり、
 石垣の角を通り過ぎると、

横に長い規模の大きな石積みが現れました。

もうそろそろ、800mくらい、歩いてきたと思うのですが、いまだ、大きな木には出会っていません。

下の神社にあったカシノキのように、コガノキもあるとすれば、この集落の中にあるような…。

周囲をきょろきょろ見回したのですが、濃い人工林に阻まれ、それらしいものは見つけられませんでした。

どこかで道を間違ったのか、見落としたのか、それとも、通り過ぎてきたのか…。

横に長い大きな石積みの上に登り、きょろきょろ。

 山上に向かって右の方に目をこらしたとき、一瞬、木立の中に常夜灯が見えました。

見間違いかもしれないと思いつつ、林の中を歩いて行くと、
 見間違えじゃなく、ホントにありました。

 一辺数m四方の平地、あきらかにお社の跡です。


「おとのさん 諏訪大明神 神社址」の石碑がありました。

お社は欠片もありませんでした、廃村と同時にどこかの神社と合祀されたのかもしれません。


少し下ったところには、参道っぽい名残をとどめる注連縄柱が立っています。


神社址のすぐ横に唯一、廃屋が一軒だけ残っていました。

写真奥の方は屋根が落ちてしまい、間取りが分かるくらい、雨ざらしとなっていました。


この辺りは、「上ノ成」と呼ばれた集落がありました。

新居浜は別子銅山で有名ですが、ほかにも鉱山があり、上ノ成も鉱山夫らの町として賑わったそうです。

多いときは2、30軒の家が立ち並び、少し下ったところに小学校もありました。

閉山とともに過疎化が進み、昭和50年頃に廃村、無人となったようです。

 生活の跡も少し残っています。


廃村風景に出会うと、様々な思い、考えが心に去来します。

明治維新以降、急に世界の荒海に放り出された日本人は、西欧列強に追いつけ追い越せ、
乏しい国内資源・エネルギーを補うべく、産めや増やせやで得た人力と精神力でどうにかやりくりしつつ、
環境破壊すら見て見ぬふりして、100年ずっと駆け続けてきました。

山間にあった寒村も時代の恩恵を受け、数百人の大所帯に成長した地域もありました。

けれど、石炭から石油へエネルギー政策の転換で鉱山が次々と閉山、輸入木材の増加による林業の不振などで、
新居浜、西条の山塊に点在していた多くの山村共同体は廃村、よくても過疎化に追い込まれて行きました。

それはある意味、日本が一番元気だった、上り調子だった時代の終わりでもありました。

時代の終わりは夢の終わりのようにも感じます。

植林された家の跡地が、刻々と自然に飲み込まれ、順調に自然に還っている風景を目にしていると、
人口すら減少に転じたいま、郷愁な心持ちをあえて抑えて云わせてもらえれば、
人と自然の関係がようやく適正な姿に近づきつつある、そんな気もするのです。

こんな山の中でも、鉱山と云う糧があったからこそ、300人もの人々が生活できたのですが、
そんな無理ができた時代は終わってしまいました。

金の泉を求めて人々が移転した麓の町ですら、泉の勢いに翳りが見え始めると、
シャッター商店街、国道沿いのドライブインの廃墟、侘しい光景が目立ち始めました。

適正にはまだほど遠いのかもしれません。

日本と同じくらいの国土面積でありながら、30分の1くらいしか人口がいないニュージーランドぐらいが、
自然の側に立って見れば適正なのかも。

もし、そんな時代が来たら、面河や別子山村も、ここのような廃村風景になっていたりして。


さて、神社址でもコガノキは見つかりません。

薄暗い林の中を右往左往しているうちに次第に疑心暗鬼になってもきます。

どこかで道を間違ったのか、見落としたのか、それとも、通り過ぎてきたのか。

 上に向かって道はまだ続いていたけど、不安の方が増してきました。

しばらく、お山歩してないと、精神力も萎えてしまって、木陰の道がなんとなく、ちょっと、怖い。

長居は無用か。

引き返すことにしました。


往きに置いてきたジャケットも無事回収。

途中、右左折ポイントで、まっすぐ行きかけたり、不明瞭な踏み跡、けもの道に振り回され、気をつけて下りました。

落ちた橋が見えて、道があってたと一安心。

上りより、下りの方が道迷い遭難が多いものです。

コガノキを見に行かれる方は、気をつけて入山・下山して下さい。

季節によっては、道が草に覆われ、見えにくく、間違いやすくなっている可能性があります。


スクーターにやっとこさ、たどり着き、時計を確認すると、1時間くらい経っていました。


コガノキ、いつかまた…。


でも、心のどこかでは、いつか、って日は二度と来ないかも、と正直、思いながら、山を下りました。


…そのときは、ホント、そのつもりだったのですが、まさか、数日後にまた舞い戻ってくるとは思いもしませんでした。

その延長戦の様子は、またあとで。


つづく。
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