寒波襲来。
12月になっても草原状態だったスキー場もこれでやっと冬景色。
お山もついに厳冬期に突入。
冬山はたったひとつの小さなミスでも命取りとなってしまう厳しい世界。
山頂まで30分くらいの郊外のお山でさえ、夕暮れ時に足を挫いたりなんかしちゃったら、
凍死する可能性があります。
そんな厳しい世界を職場にしているのが山岳救助隊。
今日は山岳救助隊の話題です。
まず、
富山新聞から、救助の礼状1年で33通 上市署・山岳警備隊に届く
上市署山岳警備隊員13人のもとに11日までに、救助に感謝する礼状が全国からこの一年で33通届いた。
隊員の姿を見つけた安堵(あんど)感、背負われて下山できた感謝、甘かった準備の反省など率直につづられている。
隊員にとってはどれもが「勲章」であり、さらなる救助活動へ大きな励みとなる。
届いた礼状は遭難者本人からが20通のほか、家族、同行者、大学山岳部関係者などからがある。
遭難場所は剱岳、剱御前、雄山などさまざま。
隊員らは一通一通に目を通し、飛弾晶夫室堂常駐小隊長は
「救助時の模様は全部よみがえる。元気になったら今度は安全に登山を楽しんでほしい」
と話す。
便せん3枚にびっしり手書きしてきたのは7月、雲切新道を下山中に標高1300メートル付近から岩場を約70メートル転落、肋骨(ろっこつ)と右手を骨折し、ヘリコプターで生還できた長崎市三原、荒木紀子さん(64)。
手紙に記した
「私は本当に幸運でした。助けられた命、大切に生き永らえます」
との思いはますます募っているそうで、
「今は何かしら人の役に立ちたいと思い始めている」
と電話取材に答えた。
6年前剱岳で遭難した大阪府の女性は毎年、バレンタインカードを送ってくる。
横山隆小隊長は
「毎年楽しみ。どれも、誇れる大きな勲章」
と話し、冬山警備に気を引き締める。
厳しい自然の中で命をすり減らしながら見ず知らずの誰かを助ける仕事。
憧れます。
誇りはいざという時の火事場のくそ力に変わるんでしょうね。
さて、12月に入ってから、“遭難まとめ”に書ける事故がひとつも入ってきていません。
せめて、お正月を山上で過ごそうとする人たちが山にどっと繰り出す年末まで、
このまま平穏でいて欲しいけど、自然は無慈悲だから、
突然降り出したこの大雪で下山できないパーティとかいそうな気がします。
山岳警備隊員もおちおち休んでられません。
冬には冬の救助技術が必要ということで、
読売新聞・岐阜版から、県警山岳警備隊、北アで遭難救助訓練

冬山シーズンを前に訓練に入る県警山岳警備隊員(岐阜県高山市奥飛騨温泉郷で)
年末年始の冬山シーズンを前に15日、県警山岳警備隊飛騨方面隊(隊長・児島宏治高山署地域課長)の隊員ら約30人が北アルプスで冬山の遭難救助訓練を始めた。訓練期間は3日間で、雪上歩行や遭難者搬送、県警航空隊と連携した救助訓練などを行う。
この日、ふもとの新穂高登山指導センター前で、田仲一英県警生活安全部長と、下平春樹高山署長が「雪山の基本と技術をしっかり学んで、使命を果たしてほしい」などと訓示した。防寒着に身を包んだ隊員らは、重さ30キロ前後の装備を担ぎながら訓練場所となる西穂高岳方面に向かって入山した。
本県側では昨シーズンまで3年連続で雪崩被害が起きている。昨シーズンは7件10人の遭難者が出た。今年の積雪は現在、多いところで約1メートルだが、県警は「天気の急変などに気をつけてほしい」話し、登山者への呼びかけを強化していく。
最後に、岐阜県側の民間団体「北飛山岳救助隊」の元隊長・内野政光さんから
冬山登山の心構えを、
毎日新聞から、安心・安全ナビ:登山者あこがれの北アルプス。
安全な冬山登山の心構えは。
◆登山者あこがれの北アルプス。安全な冬山登山の心構えは。
◇十分な装備と引き返す勇気を 体力過信、携帯頼み禁物
3000メートル級の山々が連なる岐阜・長野県境の北アルプスは登山者のあこがれだ。
冬山シーズンに入り、越年登山の時期を迎える。
これまで天候急変や体力消耗による遭難が繰り返されており、岐阜県側の民間団体「北飛山岳救助隊」の元隊長、内野政光さん(66)は
「稜(りょう)線(せん)付近は携帯電話が通じるので、携帯さえあれば、いつでも救助隊やヘリが来てくれると安易に考える登山者が増えている」
と憂う。
十分な装備と、引き返す勇気を呼びかける。
北飛山岳救助隊は、県警山岳警備隊と連携を取り、北ア飛騨側の救助にあたる民間団体。
1959年、登山ブームで続発する遭難に対処するため地元の若者らが結成した。
隊員36人で、過去50年で出動は724件。
内野さんは69年入隊、95年から03年まで隊長を務めるなど、生き字引だ。
岐阜県側登山口の高山市奥飛騨温泉郷の新穂高温泉を起点にした冬山登山は、槍ケ岳(3180メートル)と西穂高岳(2909メートル)の人気が高い。
槍ケ岳の場合、山ろくの槍平(1990メートル)までは夏ルートが比較的残りやすい。
西穂高岳はロープウエーで終点まで行けば、山頂までルートが残っているという。
内野さんによると、冬は新穂高温泉から槍平まで8時間以上、西穂高岳までは(ロープウエー経由で)4時間半が必要。
新穂高温泉からは、槍ケ岳や奥穂高岳(3190メートル)方面のルートと、双六岳(2860メートル)や笠ケ岳(2897メートル)へのルートがある。
両ルートには「雪崩の巣」と呼ばれる沢筋がいくつもある。
表層雪崩の危険が絶えず潜み、地元では「冬は絶対入るな」が鉄則だ。
県警によると、岐阜県側の北ア冬季(12~2月)の登山者は08年度までの3年間、1007~1266人の間で推移した。
遭難件数は06年度5件、07年度3件、08年度7件。
年によって雪の降り方は違い、内野さんは「ここは大丈夫という所は決してない」という。
自治体などで作る岐阜県北アルプス山岳遭難対策協議会によると、08年1~12月の登山者(岐阜県側)は9825パーティー、2万5885人。
遭難事故は40件49人あり、うち5人が死亡、1人が行方不明となった。
原因は転倒、滑落、道迷い、発病--と続く。
死者、行方不明者、けが人計29人のうち40代以上が20人。
「子育てが終わり、会社も卒業。
医者からは健康づくりを勧められる。
若いころ山登りの経験がある人たちが再び山へ向かう。
そして、体力を過信し、アクシデントに見舞われる」(内野さん)が典型的パターンだ。
ふもとの登山指導センターで「天候が悪い」と注意しても、「せっかく来たのだから」と耳を貸さない人も増えているという。
内野さんは「天候をみて、事前に引き返す勇気を持てば遭難は減る」と強調する。
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◇冬山に必要な主な携行品
□ビーコン(雪崩に遭遇して埋もれた場合、発見してもらうための発信装置)
□テント設営のためのスコップ
□地図、コンパス
□予備食(ビスケット、乾燥牛肉など)
□予備の毛糸手袋、目だし帽
□寒冷地用の燃料(ガス)
□ラジオ(天気予報・雪山情報)
※内野さんのアドバイスから
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