今日は朝から大津波・津波警報。
地球の裏側、チリで発生した津波が広大な太平洋を渡って日本沿岸に到達。
津波は第1波より第2波の方が強い場合があり、余波も延延と収まりません。
昨年夏に起きたトムラウシの遭難事故の波紋も拡がり続けています。
日本山岳ガイド協会の特別委員会が先日、最終報告書を公表しました。
十勝毎日新聞から、ガイドの判断ミス指摘 トムラウシ遭難
調査委最終報告 会社も安全配慮欠く
大雪山系のトムラウシ山(2141メートル)で昨年7月、登山ツアー客ら8人が死亡した遭難事故で、日本山岳ガイド協会の特別委員会(節田重節座長)は24日に最終報告書を公表した。
危機意識や意思疎通が不十分だった3人のガイドの判断ミスによる“気象遭難”で、ツアー会社も安全面の配慮が欠けていたと指摘。
再発防止策として、実践的な講習によるガイドのスキルアップなどを提言した。
同事故ではツアー客15人とガイド3人のパーティーが遭難、強風と雨の中でガイド1人を含む8人が低体温症で死亡した。
報告書では、事故前日から天候が悪化したにもかかわらず、ガイド間の連携が不十分なままヒサゴ沼避難小屋から出発した判断を疑問視。
ロックガーデンを越えた先でパーティー全体を長時間にわたり停滞させ低体温症を引き起こしたことなど、危機的状況での対応力に問題があったとした。
ツアー会社については、危険回避の具体的な判断基準やツアーの予備日がなく、ガイドの意見が企画に反映されないなど、安全面での問題点を指摘した。
提言ではガイドのスキルアップのほか、ツアー会社が登山の安全性に配慮した業務マニュアルを作成し、徹底させることを求めた。
参加者にもツアーに依存せず、基本は自己責任にあると訴えた。
同日都内で会見した節田座長は
「出発する判断が一番のポイントだった。
途中でも柔軟な対応ができたはずで、ここまで大量に犠牲者を出すことはなかった。
ツアー日程に余裕を持たせるなど安全面に配慮しないと事故は減らず、業界として取り組んでほしい」
と語った。
最終報告書は3月1日から、同協会のホームページで公開する予定。
明日、最終報告書が公開される日本山岳ガイド協会は、こちら、
→ 社団法人日本山岳ガイド協会神戸では生存者をパネラーに招き、シンポジュームが行われました。
産経新聞・関西から、生還者交え"悪夢"検証 「トムラウシ山遭難」シンポ
北海道大雪山系トムラウシ山ツアー登山遭難事故シンポジウム 北海道・大雪山系のトムラウシ山(2141メートル)で昨年7月、ツアー登山参加者とガイド計8人が死亡した 遭難事故に関するシンポジウムが27日、神戸市灘区で開かれた。
事故をめぐって公開の場で討論が行われたのは初めて。
事故の生存者や山岳団体などをパネリストに約200人の参加者を交えて討議が行われたが、会場からは、ツアー会社やガイドの姿勢などに疑問の声が多く上がった。
シンポジウムでは、生還した愛知県在住の戸田新介さん(66)が当時の状況を報告。
「ツアー登山は客同士も初対面でコミュニケーションが難しい。
ガイドの判断がすべてだが、自分の命は、自分で守らないといけない。
今思えば亡くなった方は(調子が悪いとか)何も言わなかったんだな、と思う」
と振り返った。
事故では夏山で短時間に8人もの人が低体温症で死亡したことが注目されたが、船木上総・苫小牧東病院副院長は事故当日、出発から約3時間後に足下がふらついていた人がいたことを挙げ
「この時点で低体温症にかかっていた」
と指摘、対応の遅れが凍死につながったとの見方を示した。
会場からはガイドの判断に関する疑問の声が多く、山岳ツアー会社「アルパインツアーサービス」の黒川恵社長は
「本格的に登山をやった人が設立したツアー会社は国内にわずか数社しかない」
と話し、磯野剛太・日本山岳ガイド協会理事長も
「きちんと研修を受けたレベルのガイドは650人程度なのに、ツアーや学校登山、市民団体などの引率者を含め5000人ぐらいがガイド業をしている」
と語った。
ツアーは東京のツアー会社「アミューズトラベル」が企画。
55~69歳の15人をガイド3人が引率し、2泊3日で四十数キロを縦走する計画だったが、暴風雨に見舞われた最終日、客7人とガイド1人が凍死した。
日本山岳ガイド協会の事故調査特別委員会は今月24日、「一義的にはガイドの判断ミス」とする報告書をまとめており、道警は同社を業務上過失致死容疑で家宅捜索するなど、安全管理に問題がなかったか捜査している。
ガイドの判断ミスではあるんだろうけど、果たして自分がその場にいたら、
もし僕がガイドだったら、詰まったスケジュールの中で冷静に判断できたか、
もし僕がツアー客だったら、ガイドらに冷静な判断を問うことができたか、
どうなっていたんだろうって考えると、ガイドらを単純に責めることは僕にはできません。
大量遭難下では助かって良かったはずの生存者も十字架を背負ってしまいます。
共同通信から、下山男性、「生還は罪か」と自問 神戸で山岳遭難シンポ
北海道・大雪山系のトムラウシ山(2141メートル)で昨年7月、ツアー登山の8人が死亡した遭難事故を受け、原因や再発防止策を議論するシンポジウムが27日、神戸市で開かれた。
「海の上で暴風雨に遭ったようだった。まともな休憩さえ取れなかった」。
ツアーに参加し自力下山した戸田新介さん(66)=愛知県清須市=は冒頭、山中での極限状況を報告。
「亡くなった人たちのことを考えると、(自分が)生きて帰ったこと自体が罪なのではと思うことがある」
と、複雑な胸中を明かした。
シンポジウムは日本山岳協会などが共催し、札幌や東京など全国から約200人が参加した。
ガイド団体の役員や低体温症に詳しい医師、気象専門家らが、それぞれの視点からツアーの問題点を指摘。
山岳ガイドの力量にばらつきがある現状を懸念する声が上がった。
一般参加者からは、遭難事故に同行したガイドの判断や旅行会社の対応を疑問視する意見が続出。
一方で「ガイドに連れて行ってもらうという意識を変えないといけない」と、登山者側の課題を指摘する声も出た。
北海道ではアウトドアガイドの資格を知事認定制に戻すことにしたそうです。
北海道新聞から、道アウトドアガイド資格 再び知事認定制に
道は26日、民間に移管していた「北海道アウトドア資格制度」の運営を2011年度に道直営に戻し、知事名の認定制度とする方針を固めた。
同制度をめぐっては、昨夏に大雪山系のツアーで死者10人が出た遭難事故を機に、ガイドの質向上に向けて普及を求める声が強まっていた。
道が再び直接関与することで、頭打ちの資格取得者数の増加を目指す。
四国にも欲しいなぁ、アウトドア資格制度。
シンポジュームの記事に話は戻りますが、
ガイドでお金をもらってる人が5000人もいるそうですが、ボランティアまで含めたら万単位になるんでしょうね。
“看護師”みたいに、“ガイド”や“道先案内人”の名称も資格がないと自称すらできないようなシステムにすればいいのに、
なんて思いはするんだけど、お山って“地続き”だから、
山頂に向かわない遊歩道とかのガイドはいいの?とか、
国立国定公園内に限定しても、山のまっただ中にある高野山のガイドさんなんかどうなるの?って話になるし、
境界は曖昧だけど、いざ、事故が起きたら数千万円の賠償金を請求される立場だし、
資格制度にしたところで新しい問題が次々出てくるんだろうなぁ。
バンジージャンプの前に「自己責任」の書類にサインを書かされるけど、
登山も「自己責任」な部分が大きいし、
山岳ガイドは道をガイドするだけで、自分の命は自分で守るという原則を徹底するためにも、
入山前に「自己責任」の書類にサインをしてもらうのが正しいのかも。
勉強だけ教えてくれればいい学校の先生が、学校と保護者の板挟みで疲弊し破綻していくように、
ガイドにおんぶに抱っこみたいに頼り切っちゃいけない。
ガイドはガイド。
迷わず、道案内してくれれば上等。
ツアコン並みに、タイムスケジュールや食事の管理や山小屋の寝床の場所取りまでさせたらいかんでしょ。
客側もそれを当たり前に要求するのを改めないといかん気がします。
登山は「自己責任」が原則じゃないと危ないもん。
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