去年のちょうど今頃、「
黒部渓谷の登山道通行止め」というタイトルで、
黒部峡谷の登山道を国が突然に通行止めにして、
登山者も道の奥にある祖母谷温泉も困ってるという記事を載せました。
その後、登山道は解放されたのですが、縦割り行政の弊害やら、困った時ほど融通の利かない法律、
問題は片ずくどころか、山積したままだそうです。
朝日新聞から、黒部峡谷 登山道存続の危機
維持費めど立たず
国と地方 管理巡るなれ合いが背景
←美しい姿が観光客に人気の奥鐘橋。
登山道の管理主体が決まらなければ、取り壊される可能性も=黒部市黒部奥山国有林
トロッコ電車で知られる黒部峡谷の名勝が存続の危機に立たされている。
沿道に温泉などがある唯一の登山道について、黒部市や民間で作る組合がこの春、国土交通省から管理を引き継いだが、維持費確保にめどが立たない。
さらに、登山道が通る国有林の土地を国交省が林野庁から借りている期間が3年後に終わり、その後を任意団体である組合が引き継ぐのは難しいためだ。
背景には、行政の縦割りや、登山道の管理を巡る国と地方の長年のなれ合いがある。
「なぜ管理組合に国が入らないのか」。
4月に黒部市内で開かれた欅平・祖母谷間道路管理組合の設立総会。
県や市、黒部峡谷鉄道や地元の山荘など、組合員が集まる中であるメンバーが声を上げた。
■地元組合から引き継ぎ
組合は同省黒部河川事務所から登山道の管理を引き継いだ。
トロッコ電車の終点・欅平駅から上流の祖母谷橋までの約2・4キロ。
道筋には観光ガイドにも紹介されている奥鐘橋や人喰岩などの名勝があり、秘湯として知られる名剣温泉や祖母谷温泉もある。
発端は昨年春、同事務所が奥鐘橋より先を通行止めにしたことだ。
祖母谷川水系では同省の砂防工事が昨年度で終了。
同事務所は「そもそも道路は工事用の資材運搬道路で観光客は入れない。
工事が終わった以上、うちでは管理できないとこれまでも地元に伝えてきた」と主張した。
これに対し市や山荘が反発。
7月末に解除されたが、管理責任は地元が負うことになった。
とはいえ、組合の予算は年間約800万円。
除雪や整備費用などで精いっぱいで、登山道にある複数の橋やトンネルの修理費までまかなえない。
一帯は環境省もかかわる中部山岳国立公園で、橋などは国交省が所有しているため、「今後関与しない」という国の姿勢に不満が募っていた。
■「国立公園内」の壁
さらに、富山森林管理署は6月中旬、組合長を務める中谷延之・黒部市副市長に組合に土地を貸すのは難しいと伝えた。
「国立公園内で保安林でもあるため、厳しい法規制がある。
面積も広く橋などの設備も大きいため任意団体に貸すのは困難」(同管理署)というのがその理由だ。
旧宇奈月町長だった中谷副市長や県などによると、もともと工事用道路よりも祖母谷川寄りに登山道があった。
大正時代に林野庁が祖母谷で治山事業を開始。
1961年には同省の砂防工事が始まり、工事用道路が建設された。
以後、それまでの登山道ではなく工事用道路が登山者にも使われるようになったという。
県自然保護課によると、県は67年、祖母谷から白馬岳や唐松岳へ向かう間で国の自然公園法に基づく公園整備事業を行い、避難小屋を設けるなどした。
だが、祖母谷までは既に工事用道路が登山道として使われていた。
同課は「(市や同事務所などと作る)安全対策協議会で、工事用道路に観光客が入ることへの安全対策を協議してきた」と言うが、事実上、登山者の足の確保を国交省任せにしていた。
工事用道路は、黒部峡谷鉄道が開業した71年にも同じ理由で閉鎖され、その後解除された。
だが、登山道としての管理責任はうやむやにされた。
中谷副市長は「観光客が工事用道路を使うのを国は何十年も黙認してきた。
急に閉鎖し、今後はかかわらないと言うのはおかしい」と憤る。
国交省と林野庁の契約は2012年度末まで。
地元と同事務所の協議では、その後は組合が借りることになっていたが、今度は林野庁から「駄目だし」を食らった格好だ。
中谷副市長は、「行政の縦割りに翻弄されている」と途方に暮れている。
国家公務員はとにかく、面倒なことに巻き込まれるのはイヤなんでしょう。
でも、もしもの時の責任を誰がとるのか、とらされるのか、はっきりしない状態じゃ、
恐くて誰も手を出せないのは分かる気がします。
国有林の土地を国交省が林野庁から借りて…
あ~、めんどい! (>_<)
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