埼玉防災ヘリ墜落事故によせて

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昨日25日、埼玉県秩父市のブドウ沢付近で、山岳事故の救助作業中だった埼玉県の防災ヘリが墜落、
ヘリに乗っていた7人のうち、本田航空(埼玉県川島町)の機長(54)ら同航空の社員2人と、
県防災航空隊員と地元消防署員の5名が亡くなられました。

遭難した女性は東京都勤労者山岳連盟の「沢ネットワーク」メンバーで、仲間8人と沢登り中の出来事でした。
24日午後4時頃、滝つぼ上部をワイヤー伝いに渡っていた時に、先頭から2番目に渡っていた女性が滑落。
救助隊員が降下した時点ですでに心肺停止状態だったそうです。

パーティのリーダーが会見で、
「(女性が)落ちたという認識が我々にはなかった。それで(助けるのが)遅れたんです。申し訳ない」と謝罪。
パーティの会見は、“救助要請の登山者が謝罪”などと報道されていて、
山の事故は明日は我が身、謝罪なんて…、と思ったのですが、
たった9人のパーティで、「落ちたという認識がなかった」は、女性が可哀相すぎると思いました。
また、滑落は午後4時頃に起きたそうですが、携帯電話が圏外だったため、山頂に移動、
110番したのは翌朝の25日午前8時半頃でした。
救助は夜明けを待って行われるにしても、翌朝の通報は遅すぎると思いませんか?
今回ばかりは“謝罪”は心情的に当然だと感じました。


レスキュー隊員と消防隊員の2名は降下中で助かりました。
墜落原因の調査はこれからですが、隊員の証言を、
産経新聞から、

【ヘリ墜落】「バタバタと聞いたことない異音」 生存2隊員が証言

 「バタバタと聞いたことのない異音がした」-。
埼玉県秩父市大滝の山中で25日発生した同県防災ヘリコプターの墜落事故。
生存した搭乗員は県などの聞き取り調査に、事故直前の状況をこう表現したという。
搭乗員5人の生命を奪った事故の原因は何だったのか。
惨劇から一夜明け、同県警や国土交通省運輸安全委員会の調査が本格化する。

 搭乗員7人のうち、生存者は秩父消防本部隊員の木村準さん(38)と、県防災航空隊員の太田栄さん(36)の2人。
聞き取り調査は25日夜、狭山消防本部から秩父消防本部に向かう車中で、30分弱行われた。

 26日未明、秩父消防本部で会見した県防災航空隊の立川弘史隊長によると、ヘリは女性が滑落した滝つぼのやや下流、30メートルの高さでホバリング。
2人をつり下げ、救出態勢に入った。

 異変が起きたのはこの直後だった。
2人が抱き合うように降下し、地面まで約1メートルまで迫ったところ「バタバタというこれまで聞いたことのない異音がした」。
思いがけぬ速度で急降下し、2人は転倒。
「メインローターの音が普段と違ったのでは」と2人は話したという。

 その後、機体と体を結んでいたワイヤロープを解いた。
ヘリは機首を下げながら斜面にぶつかり、墜落した。
近くには救出待ちのパーティーがいたため、「ちょっと待ってください」と声を掛けた後、2人は機内の搭乗者にも呼びかけを行ったが、応答はなかった。

 2人はヘリで救出される際、沢の斜面を見渡し、機体が接触した樹木などの痕跡を探したが、その場では見つからなかったという。

 ヘリは最大定員14人。
事故当時は7人が搭乗し、重い救助機材も積載していたが、立川隊長は
「1回で(救急隊員を)何人運べるか検討し、人数を決めた。適切に重量は管理していた」と強調した。

 2人も、現場付近の天候や風の強さに問題はなく機体にも異常は発生していないと感じていたという。
着陸現場の視界も良好で、事故直前に異変を知らせる無線が機内から伝わることもなかったと証言している。

 「すいません…」。
聞き取り調査に先立ち、立川隊長と面会した2人は、憔悴しきった表情でこう話したという。


ヘリは高さ30メートルほどの所で静止、隊員2名がロープで降下を開始、
地上から1メートルくらいのところで急にロープが50センチほど下がり、2人はバランスを崩して地上に転倒。
それと同時に”バタバタ”という、回転翼の低い異常な音が聞こえ、空を見上げると、
ヘリが機首を下に落下、沢の下流、左側の斜面に激突したそうです。


この遭難事故の救助活動中、別の遭難者が発見され、死亡が確認されています。
産経新聞から、

ヘリ墜落現場近くで別の男性が滑落? 搬送先で死亡 秩父

 25日午後2時30分ごろ、埼玉県秩父市大滝の沢で、頭を負傷した男性が倒れているのを、県防災ヘリ墜落の救助で現場に向かっていた県警山岳救助隊員が発見した。
発見時、男性は重体だったが、搬送先の病院で死亡が確認された。

 秩父署によると、男性は尾根に沿って歩いていた際に、沢に滑落したとみられる。
尾根から沢までの高低差は約50メートルだった。

 秩父署によると、男性は30~40代で黒色のポロシャツに水色のズボンをはいていた。
男性が発見された現場は、ヘリが墜落した現場から約100メートルのところだった。



最後に四国新聞のコラムを。

7月26日付・命がけの救助

 ヘリコプターによる山岳救助の世界で、伝説的に語られるのが篠原秋彦さんだ。
1970年代から民間救助の草分けとして活躍。
警察の救助隊員をも上回る技術やパイロットとの濃密な連携で、信州を舞台に約2千人を救い出した。

 「空飛ぶ山岳救助隊」(羽根田治、山と渓谷社)によると、それを可能にしたのは、並々ならぬ使命感と、安全確保に対する過剰なまでの慎重さだ。
容易に片付きそうな現場でも必ずアクシデントに備え、納得がいくまで安全を確認した。

 危険な仕事だと誰よりも知っていた。
心配をかけまいとあまり口にはしなかったが、妻に「もしなんかあったときには…」と言うこともあったという。
そして悲しくも8年前、その言葉は現実となってしまった。

 危険な場所だから、登山者が遭難する。
そんな場所だから救助する側も、どんなに熟練者であろうとも、危険と無縁ではいられない。
それでも見知らぬ誰かを救うために、彼らは命がけで空を飛んでいく。

 昨日、見知らぬ誰かを救おうとした埼玉県の防災ヘリが墜落し、県航空隊員ら5人が亡くなった。
プロとして安全確保に努めていたであろうに、事故は起きてしまった。
こうした救助活動中の事故は、きっとこれからもゼロではない。

 この夏、山登りを楽しみにしている人も多いだろう。
誰も遭難したくて山に登る人などいないのだが、どうか甘く見ず無理をせずに願いたい。
帰宅を待つ家族はもちろん、命がけで救助に向かう彼らのためにも。


合掌。
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